子どもを包みこんでいかれない社会とはどんな社会なのだろう?
子どもを包みこんでいかれないということは、
老人も障害者も、
日本で暮らす他の民族も、
そして女も、
弱い立場の者はみんな
はじきとばされてしまう社会ではないだろうか?
私はまた、子育てしながら働くひとりの女として、
自分の問題として事件にこだわり続ける旅に出ていた。
目 次
はじめに
【Ⅰ】若者たちのブラックホール 17
反発する中学生たち19 「仮死ゴッコ」23 落ちこぼれたら生きていけない26
若い教師たちの反発31 「私も浮浪者はいや」と語る教師33
【Ⅱ】「やつらは黒いかたまり」 37
どんな少年? 40 雪の夜の出会い43 逮捕のきっかけは「自首」4
在日朝鮮人への差別感46
淡たんと語る暴力のようす49 少年の孤独53 現実感のない少年56
黒いかたまり58 「顔」の見えない殺人59
途方にくれる少年61 「母に手を出さない」という内規63
自分の生き方と重なる取材64
【Ⅲ】窓から老人を撃った少年 67
巨大な黒い家67 二つの報道のズレ70 仕事しない父? 75
母の実像を求めて78 互いに否定しあう両親の間で83
両親に寄せる少年の思い85 遊び場は深夜のコインランドリー86
【Ⅳ】少年たちの素顔 91
少年たちの「心」を求めて92
さまよい続けた少年95
暴力を〝演じ〟続けた少年98
殴られながら生きぬいた少年101
哀しいひょうきん族105
いい子になるのに疲れた少年109
保健室に逃げた少年112
【Ⅴ】家庭崩壊ではなく生活崩壊 115
「崩壊」と「健在」116 子どもにとって「健在」か? 117
家族崩壊とは言われない119 母の仕事120
途中を認めない思想122 家族とは123 見えなくなった「生活」126
生きるための仕事・家事129 女の仕事と男の仕事? 130 生活崩壊が問題132
【Ⅵ】追われる生徒、追われる教師 135
追われた少年136 母も一緒に子どもを追い出した138 「目立たなかった」140
当事者校ではタブーに142 教師の悩み144 奪われた教師の自由146
口をつぐむ教師たち149 なぜ横浜でタブーに? 150 教師たちが教えた人間愛152
自由の中で見える個性155
一層の管理強化は子どもを殺す158
【Ⅶ】コンクリートの上の子ども 163
子どもたちの「くさい」という言葉164 わが子の遊んでいた所165
「生命」のない遊び場167 ゲームセンターは隠れ家? 170
中学校のグラウンドで見た「土」172 冷たい公園174
追われる野宿生活者176 隠れることも許されず177
人間が「汚く」見える町178 少年も「浮浪者」も同じ所で……180
【Ⅷ】いじめは子どもの叫び声 183
山下公園は明るかった184 襲撃は十年前から188
醜い大人たち193 追いつめられる子どもたち197
【Ⅸ】事件にこだわる人びと 201
おわりに 224
| やっと見えてきた子どもたち |
1983年初版第1刷 発行あすなろ書房
編集 伊東 和雄さん 写真 坂本鉄平
書籍コード 0337-002922-8058
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| 横浜「浮浪者」襲撃事件を追って |