福島に引っ越してからアッというまに２カ月が経ってしまいました。片附けと、８８歳の母ひとりではどうしようもなかった母家の掃除・片附けに追われ、痛い腰をかかえつつウロついておりました。
　その間にも滋賀・大阪・鳥取・神奈川県などに講演で出かけました。鳥取市からの帰り道は、台風に追われ、私たちの乗った電車の次から止まるという、スリリングな旅になりました。でもやはり出かけていくとその土地ならではの人との出会いがあって、励まされます。
　多くの人から「福島は大丈夫ですか？」と心配をいただきました。私はただ笑って、「たいへんです」というだけでした。大丈夫なのかそうではないのか全くわからないからです。でもその中でたくさんの人が毎日の生活に追われながらも、黙々と生活しています。
　恐怖を不安に出せば、叫び出してしまいそうになります。だから自らの口を抑え、心の中に閉じこめ、生きていくしかない日々です。暗いわけではありません。「このヒマワリ、あんまりにもデカくなったべ。放射能のせいだべか」「そんなわけねぇべー」などと、不安を笑いにしていく力もあります。
　ここで生きると決めたのだから、学ぶこと、報告すること、怒ることを忘れず、小さな生き物と共に生きようと思っています。
　夏は福島県いわき市、岡山県津山市、神奈川県秦野市などでしゃべります。滋賀、福井にも行きます。またお目にかかれることを楽しみにしています。鉄平の写真、笑って見てやってください。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　青木　悦