目次
まえがき
中学生のみなさんへ
プロローグ
中学生にビラを配る人たち
俺たちは、怒っている
事件が私を変えた
第1章 港を駆けぬけた少年たち
電信柱の柱時計
「学校」を失った少年
「家庭」を失った少年
無抵抗の宇宙人
恐怖に背中を押されて
捜査本部なしの殺人事件
日本中に走ったショック
「特別な少年たち」 ?
登校拒否
いじめは何を示すのか
第2章 公園でひっそり生きる人
須藤さんの人生
もち菓子屋時代
正月の朝のできごと
夜の公園をひとり歩く
第3章 人間のにおい
労働者たちの怒り
人間のにおい
孤独な者どうし
なぜ無抵抗だったのか
第4章 閉ざされた学校
受験勉強以外は「よけいなこと」 ?
私、どうすればいいの ?
無言の圧力
教師の権威
逮捕
逮捕の意味
第5章 歴史の分岐点に立って ―事件の背景としての時代を考える―
忘れていた街
寿町のおいたち
高度経済成長とくらしの変ぼう
公害問題の深刻化
オイルショック
新宿駅にふえた「浮浪者」たち
襲撃は8年前から
今、二つの道を選ぶとき
第6章 「使いすてられる」人々 ―日雇労働者の生活―
ドヤ街の朝
手配師たち
人が買われていく
原発と日雇労働者
戦場にもかり出されて
出かせぎ
野宿をしいられる人々
第7章 学ぶことは生きること
「人間」をさがす旅
差別のなかで生きるということ
ひらがなの新聞
識字学校
厚いかべをのりこえて
人間への信頼ということ
記憶することと感じること
ほんとうの勉強とは
エピローグ 「知る」ことのつらさ
私にできなかったこと
自分の人生を選べなかったTさん
サイン帳
あとがき
手をつなぐ中学生の本-22
| 「人間」をさがす旅 |
1983年初版第1刷 発行 (株)民衆社
編集 山崎 宏さん 写真 坂本鉄平
書籍コード 0337-002922-8058
|
| 横浜の「浮浪者」と少年たち |
下線のついた目次をクリックすると、そこの本文(抜粋)を読むことができます
少年たちの置かれたところ、
野宿せざるをえなくなった人たちの置かれたところ、
両方を考えていくと、
私の目の前には
荒涼とした現代という時代の断面が浮かんできたのです。
と同時に、
私はこの取材を「殺された側」
つまり「浮浪者」といわれて差別され、
排除されてきた人たちの側から続けることになったため、
横浜の寿町という
いわゆるドヤ街に住む人たちと知り合いになりました。
そしてその人たちから、
人間と人間の信頼、人間と人間のやさしさを知らされました。
それは、私がいつの間にかどこかに置き忘れていたことでした。
そして事件は、
その置き忘れていたところから
しぼり出すように生まれた事件だと思いいたりました。
人間と人間の間のやさしさを失った時代、
人が人を追い落としたり、いじめたりする時代、
そういう時代が産み出した事件を追っていて、
その「被害者」に近い所に住む人たちから、
あらためて人と人のやさしさを教えられたのが、
私にとってのこの一年だったのです。