「新学期の登校イヤがり」
「子どもが学校に行きたくないと言いだして、途方にくれています。どうすればいいでしょうか」……新学期、とくに長い夏休み明けの9月初めごろ、こんな相談が多くなります。小学4年生から中学1年ぐらいまでの子どもさんが多いです。
これをすぐ「不登校」と決めつけて、過剰な反応をしたり、不安になったりすることは、必ずしも子どもの気持ちに沿うものではありません。この季節の「登校いやがり」は、むしろ、全く長い時間離れていたともだちと、また気をつかうつきあいをしなければならないという、ちょっとしたしんどさ、重い気分を表現しているのだと、私は思います。ちょうどゴールデンウィーク明けに会社に行く人が、「ああ、また仕事か、しんどいなあ」と思う、それに似ています。
こんなとき、「何いってるのよ、おともだちと久しぶりに会えるんじゃないの、楽しいはずよ、あなた、おかしいよ、しっかりしなさい」なんて〝励まし〟は最悪のものになります。会社に行く前に「あーあ、仕事かあ、しんどいなあ」という夫に、そういう言い方をするでしょうか。決してしないと思います。おそらく「そうね、しんどいねえ、でも仕方ないよね、がんばって
! 」というのが大半ではないでしょうか。
子どもが頭が痛いといってふとんから出られなかったり、玄関にしゃがみこんで青い顔をして身動きしなかったり、そんなときはちょっと休ませてやってください。学校は命がけで行くところではありませんから、体でイヤだと表現しているときは、とりあえず休ませてやってください。
しかし、カバンを持ち、ちょっとだるそうに「あーあ、また学校かあ……」と言うぐらいのときは、「そう、しんどいねえ」と声をかけてやってください。すぐ不登校だと「叱る」のではなく、いま、子ども同士のつきあいがけっこうしんどいこと、分かってやってください。