「ひとりで起きる?」
「子どもがなかなかひとりで起きてくれなくて……」「もう、何回も声をかけても起きないんです。そのうちに耳の側で怒鳴ってしまいます」ーーそんな声をよく聞きます。
そういう質問というか、グチに対して、私は「起こしてあげればいいじゃないですか」と言います。
すると多くの人が、「そんな、ひとりで起きられるようにしてあげるのがしつけではないでしょうか」と、反論されます。
「ひとりで起きられないのは、夜遅くまで起きているからです。早く寝るように教えましょう」などと答えた方がいいのでしょう。
しかし、私も自分の子どもとの関わりの中で、この言葉がどんなに空しいものか分かっています。 前日の夜早く寝て、翌日親が声をかける前に、ひとりで早く起きてくれれば一番良いのですが、これがどんなに困難なことか…。
私は、息子が高校を卒業するまでの間、毎朝起こし続けました。勉強は苦手だけど、スポーツ大好きという我が息子は、夜は放っておいてもバタンキューでした。それでも、朝はなかなか起きられないのです。むしろ小学校低学年まではひとりで起きていましたが、年々朝起きるのが辛くなったようです。
私は、予定よりも30分前から声をかけはじめました。「ウーンン」と声にならない返事に、また、10分ほどして声をかけます。
最後には枕元で怒鳴って、布団をはがしました。
夫は「放っておけ。あんたが甘いから、いつまでも甘えているんだ」と私を怒りました。でも私は夫の母から「高校卒業するまで毎朝起こしたよ」と聞いていましたから、ま、しゃあない、いずれ出ていく子だ、起こす楽しみも今のうち、そう思って続けました。
息子が大学に入って一人暮らしを始めてからは、アルバイトで始発電車に乗ることも多かったようですが、私は起こしたことはありません。
ひとりになったらひとりで起きるのです。どうぞ、今は起こしてあげてください。