「お友だちプレッシャー」
今の子どもたちは「友だち」にとても気を使います。顔色を見て、互いに気配りし、きらわれないように、相手を傷つけないように、涙ぐましいほど、自分を抑えて相手に合わせます。
その結果、疲れ、イライラし、家庭に戻ってから母親に当たったり、弟や妹につらく当たったりします。時にはカバンを投げつけたり、階段をドタドタッと、まるで怒ったように上ったりします。
私は全国各地で講演していますが、どこでも親には「お友だちプレッシャー」を与えないで、教員には「なかよしの強制」をできるだけひかえて、と話します。
子どもが家に帰ってきたらすぐ、「どう? お友だちできた?」とか、「お友だちと遊んだ?」とか、問いかけていないでしょうか。私もやりました。クラス替えがあった日にすぐ、「どう? 友だちできた?」なんてやっておりました。子どもがちゃんとしゃべれる年齢になっていれば、「そんな、簡単に、友だちなんてできるかよ」と言っていたと思います。
友だち作りが得意な子も、時間がうんとかかる子も、何年も「お友だち」ができない子もいます。どれがいいとか悪いの問題ではないのです。何年もかかって生涯の友を一人見つける子もいれば、たくさん「お友だち」はいるけれど、ずっと孤独という子もいます。要は「お友だち」の質なのです。
私たち親がすぐ「お友だちできた?」と口に出してしまうのは、親自身が「お友だち」を欲しいと思っているからかもしれません。また、子どもが「お友だち」に囲まれていると安心し、わが子が独りだと不安になるからかもしれません。
ほんの少し「お友だち」という言葉の真の意味を考えてみませんか? 子どもを責める言葉になっている場合もあるから……。